前回の「
温泉の色のメカニズム」に引き続き、今回は「乳白色・青色」の温泉に
ついてご紹介いたします。
(2) 乳白色の温泉 火山地帯に存在するいわゆる"火山性の温泉"の中には、乳白色の温泉が数多く存在しています。そのほとんどが硫化水素臭を伴うため、家庭の浴槽にはない温泉の色と香り満喫できます。
乳白色の温泉は、そのほとんどが地中から湧き出したばかりは無色透明です。湧き出た後、空気に触れることによって乳白色へと変化します。温泉が乳白色を呈するメカニムは次のようです。温泉の成分として含まれる硫化水素が空気中の酸素によって酸化さて、水に溶けにくい硫黄が生成されます。硫黄はコロイドという微粒子の形で生成されため、その結果、温泉に太陽光が当たると硫黄コロイドの微粒子によってミー散乱を起します。ミー散乱により、すべての波長の光が散乱して私たちの目に飛び込んでくるために白色に見えます。
硫化水素から個体の硫黄が生成される化学反応式は次のようです。
2H2S(硫化水素) + O2(酸素) → 2S(硫黄コロイド) + 2H2O(水 )
乳白色の温泉も、浴槽の湯が交換されて新湯(源泉)が注がれたばかりの時には硫黄コロイドが十分に生成されておらず、白濁していないこともあります。
乳白色の鶴の湯温泉(秋田県)
乳白色の高湯温泉(福島県)
(3) 青色の温泉 別府温泉郷の神和荘やいちのいで会館などの温泉は青色を呈することでよく知られてます。これらの温泉の特徴は、珪酸を多く含むことです。
珪酸を多く含むいくつかの青色の温泉について、京都大学の大沢博士らの研究グルーにより、青色を呈するメカニズムが明らかにされました。グループが調べた青色の温泉は湧き出したばかりは無色透明で、2~3日後に青色になり、一週間ぐらい後に乳白色に化します。
珪酸の小さな粒子同士が時間の経過とともに脱水縮合という反応を起こして大きく成し、約1μm程度のコロイド粒子になると、太陽光は波長の短い青色の光だけを散乱せるレイリー散乱を起こすため、私たちの目に飛び込む青色の波長の光(散乱光)によって温泉が青色に見えます。しばらく時間が経過すると珪酸の粒子が脱水縮合を繰り返しさらに大きく成長するため、太陽光は全ての波長の光が散乱するミー散乱を起こし、私達の目に白い光が飛び込んでくるため、温泉が乳白色に見えます。
この他にも青色を呈する温泉はいくつかありますが、発色のメカニズムがよくわかっていないものもあります。
青色を呈するいちのいで会館(大分県)
青色を呈する神和苑(大分県)